「iOS 5」リリースを前にして期待せざるを得ない5つのポイント。
巷では「iOS 5 beta」テストが開発者の間で行われている中、つい先日も7つ目のビルドが公開されました。そのビルドの使用期限が9月末近くまであることを考えると次にリリースされると予想されるビルドはいわゆる「GM(Golden Master)」版だと言われています。GM版リリースから特に問題がなければ、その数週間内に正式リリース版として一般に公開されるようです。
ベータは基本的にはNDAにより、情報の公開が禁止されているのですが、それでも様々な情報が伝わってきます。
この時点から「ああ使いたい」「こう使いたい」とイメージするのも楽しいものです。実際にリリースされてみないと何もわかりませんが、これまでのiOSのメジャーアップデートの中では最大級のものになりそうで私は新機種よりもむしろこちらのOSアップデートに期待しているところです。
新機種についてはAppBankでも予想記事がたくさん上がっていて非常に盛り上がっているわけですが、個人的には新機種はあくまでiOS5の全機能を快適に処理できるための器であればいいな程度に思っております。(現時点で出るかどうかもわかりませんしね。)正直身も蓋もない話ですが、本体デザインの若干の変更、カメラ性能のアップとCPU強化、そしてメモリ倍増くらいがポイントになってくるんでしょうね。どんなものが現れてもあまり驚くことはないと思ってます。
それよりもそんなOS betaテストの中で私が iOS5 で期待したいところについてまとめてみました。みなさんの期待とは若干違う点もあるかもしれませんが。まったくの私の独断です。ではその5つのポイントについて述べさせて頂きたいと思います。
脱PC構想
Welcomeスクリーン Photo by donpy
簡単にiPhoneを使う。このコンセプトは素晴らしいことだと思いました。
PCがなくてもiPhoneは使える。これは非常に大きいことになるのではないでしょうか?PCというだけで拒絶反応を示す方々は確かにまだまだ多いと思われます。「なぜケータイをつかうためにPCが必要なの?」とソフトバンクショップで質問している方々も多いことと思います。
とにもかくにもiTunesとの分離は素晴らしいことだと思います。現在のiOS4でも最初のアクチベーションさえPCを使えばあとはバックアップさえ気にしなければiPhone単体での運用は可能です。しかし、バックアップは取れませんし、OSのアップデートもできません。しかし、iOS5からは徹底的に脱PCが図られています。
・初期設定画面(Welcomeスクリーン)
・iPhoneのiCloudによるバックアップ(容量に注意かも知れませんね。)
・OTA(Over the Air)によるOSアップデート
すべてはiCloudとOTA(Over the Air)技術が可能にしているように思いました。OTAについてはMobileMeで培った技術がありますし、iOS5からは初の「差分ダウンロード」によるOSアップデートということで大幅にアップデートファイルのサイズダウンを実現しているようです。
それに併せてiPhoneだけでは設定しえなかったさまざまな設定(例えば、iPhoneの名前を設定できるとか、ミュージックアプリ内の再生リストを任意に編集できたり、カメラロールに任意のフォルダを作成できたり)が可能になったわけで、まさにiPhoneがはじめて独り立ちしたと言えるのではないかと期待しているところであります。
※ OTA=Over the Air つまりワイヤレス
iCloud
次期iPhoneの正否はこの「iCloud」のデキそのものに大きく関わっていると私は思っております。MobileMeで培った様々な技術すべてがここに投入されるわけです。
私はiPhone3G発売日からのiPhoneユーザーですが、そのMobileMeのOTA機能の恩恵は存分にあずかって参りました。ローカルに何のデータがなくてもシームレスにiPhoneにデータが同期される便利さを体感させてもらいました。
今度は無料ですべてのiPhoneユーザーが体験する番なのです。
無料区分としては「メール」「連絡先」「カレンダー」が主になってくると思われるのですが、それだけでもこれまで常にiTunesとのみケーブルを介して同期していたユーザーさんには感動的だと思われます。特に連絡先同期は本当に便利で、iOSの特性上、アドレス帳と辞書登録は密接な関係がありまして、いつでも「My辞書登録」などで辞書登録した単語はiCloudによって保持されるわけです。(実際にどうなるかわかりませんが。)正直OSに実装された辞書的な機能はいらないくらいです。もしかしたらiOS5からはそれすらiCloudで管理できるかもしれませんね。
有料区分として追加された、「iPhoneバックアップ」「フォトストリーム」「iTunes Cloud」「ドキュメント保存(iWorks)」もおそらく必須の機能になることでしょう。特に私が期待しているのは「フォトストリーム」で、一時的に1000枚あるいは直近1ヶ月内の写真が自動的にクラウド保存されるということに大きな期待を持ってます。iCloud本体の機能にも依存するかもなのですが、そこからのクラウド保存データに対するネットでの取り扱いに関する機能は便利になってもらいたいなと思いました。いわゆる外部連携ですね。
これはiOS5とiCloudのサービスインになってみないとわからないのですが、今後、iCloudサービスを利用するコンテンツが増えるとすれば本当に素晴らしいサービスをもった携帯電話になるのではないかと楽しみにしているところです。おそらくこのあたりのサービスをフルで利用するにはMobileMeで収めていた課金くらいがかかってくると思われますが、私はもともとMobileMeを利用していましたので、ぜひ今回もフルに使い込んでみたいと思っております。
さらなるクラウドデバイス化のシステムとしてがんばってもらいたいですね。
本体操作に Interrption しない、新しいプッシュサービス
skitchPUJQIR Photo by donpy
PNS機能ということでiPhone2.0から実装が期待されていたものなのですが、このたびプッシュサービスそのものがすべて変わったようです。まるでAndroidの通知のような操作体系と外観ですよね。
これまでのiOS4までのプッシュは完全な「割り込み」でした。ゲームで佳境に入った場合でもだれかと電話して手が離せない場合でも着信音と共にiPhone画面に割り込んできます。それが大きく変わったわけですね。
skitchC21fS6 Photo by donpy
iPhoneの画面上部のステータスバー程度のエリアにプッシュ内容が表示されるだけでそのとき進行している作業の邪魔にならないのは素晴らしいことだなと思いました。しかし、後からその履歴をたどれるわけですから、これは大きな変化ではないかと思いました。
携帯電話としての機能強化
スマートフォンとは言え、元々は携帯電話です。やはりアメリカ産の携帯電話と言うことで日本文化に馴染んでいない部分が多々ありました。しかし、ソフトバンクの強力な働きかけもありまして、絵文字機能がiPhoneでも実現したのは記憶に新しいことでしょう。
私は強く思うのですが、もし日本でドコモがiPhone販売の権利を独占でとったとしても今のスマートフォンブームは来なかったと思っています。iPhoneをソフトバンクが販売権利を得て、それで終わらなかった。それからのユーザーの声に最大限耳を傾け、Appleへ働きかけたことによって大成功を収めたのです。だからこそ条件的に参入できないドコモはあえてのAndroidを選択したんだと思います。そこから異常とも思えるほどのスマートフォンブームは始まっているわけです。
ドコモが動けばムーブメントにはなります。しかし本当の意味でのユーザーへの利益を考えれば、ソフトバンクがiPhoneの販売権を得たのはすべてのスマートフォンユーザーにプラスに働いたと思っています。電波が悪い云々の話ではないわけですよ。
話はそれましたが、iOS5における携帯機能に対する機能強化はうれしいお知らせが満載ですよね。
LEDフラッシュ機能 Photo by donpy
・着信音カスタマイズ
・LEDフラッシュ通知機能
・バイブレーションパターンカスタマイズ
・全く新しいメッセージングサービス「iMessage」と「SMS/MMS」の統合とUI変更
どれもケータイ使っていた方にはとっては「当たり前」だった機能ですよね。少なくともカスタム着信音に対応したのはかなり大きいのではと思ったりしました。また、バイブレーションのパターンもカスタマイズができたり、LEDフラッシュを着信通知として利用できるようになったのもいいアイデアだと思いました。技術的にはどちらかというとアイデア寄りではありますが、非常に日本的な要素が盛り込まれているのではないかと思えばかなりの進歩だと思いました。
そして個人的にはものすごく期待しているのが「iMessage」機能です。これだけiPhoneユーザーが増えた事情を考えると、キャリア主導ではない、初のメーカー主導のメッセージングサービスには非常に興味をもたされています。ついにメールが無料の時代が来たなとほくそえんでいます。iCallってAppleがIPフォンサービスはじめればiPhone最強になるのにと思ったりしますが、これは言い過ぎました。
デフォルトアプリの強化およびサードパーティアプリの機能取り込み
AppleはAppStoreのアプリの審査を毎日のように行っています。その中から便利機能をOSレベルで吸い上げています。iTunes SyncもアプリとしてはリジェクトされながらもOSレベルでの導入が今回なされるようですし、これは単にパクりという意味ではなく、OSレベルでやるべきことをAppleはうまく吸収しているものだと私は思います。
TwitterのOS統合 Photo by donpy
TwitterもOSレベルでの対応で公式アプリのダウンロードを促してみたり、デフォルトアプリの外部出力先にTwitterが追加されたりと、ユーザーにとっての便利がさらに加速すると予想されます。
まとめ
非常に端的ではありましたが、iOS5に対する私の期待を述べてみました。実際に使ってみないとなんとも言えないんですけども、今回のiOSのメジャーアップデートはこれまでにないくらいiPhoneの利用シーンすら変革するものと私の中で位置付けております。
これまでの便利からこれからの便利へ。
大きく変わるiPhoneに対して、慣れた動作に満足せず、新たな便利のために貪欲に使い込んでこそのガジェットであってほしいと思いつつ、これまで以上に初心者にもやさしいiPhoneであってほしいなと思いました。さあ、クラウド新時代への大きな一歩です。大いに期待しようではありませんか。
.